私たちの睡眠時間は本当に8時間がベストだと思いますか?

長い間、若さを保つためには、8時間がベストな睡眠時間と言われてきています。事実、私たちの睡眠時間は年齢とともに短くなる傾向があります。これは、米国の科学者が世界中で収集した、健康な人の実際の睡眠時間を正確に測定したデータと一致しています。必要な睡眠時間は年齢とともに短くなり、65歳以上では6時間あれば十分とされています。確かにご高齢の方は朝の起きる時間が早く、夜更かししているイメージもありません。

しかし、理想的な睡眠時間は8時間であると長年信じられてきたため、8時間以下の睡眠が健康を害すると考えている人も少なくありません。私もその一人でした。

日本では、高齢者の方が寝ている時間が比較的長くなるそうです。というのは、現役時代は忙しくて眠れず、退職して時間に余裕ができ、多くの人がしっかりとした睡眠をしようと望んでいるからだそうです。しかし、必要以上にベッドで過ごすと、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下してしまいます。




日本の厚生労働省は、各年代の適切な睡眠時間の目安を以下のように示しています。10代前半では8時間以上、25歳では7時間、45歳では6.5時間、65歳では6時間。これは実際に眠っている時間なので、寝付くまでの時間は含まれていません。65歳であれば、起床時間の6.5時間+30分前には就寝したほうがいいでしょう。

25歳の時ですでに7時間なんですね。短い感じもしますが、それが固定観念なんでしょう。また、最適な睡眠時間には個人差があり、平均値から大きく外れている人もいます。20代の人でも、5時間寝れば元気になる人もいれば、9時間寝ないと元気にならない人もいます。このように、理想的な睡眠時間は年齢や人によって異なるため、一概に何時間がベストとは言えません。しかし、日中に元気な感じがするのであれば、睡眠は完璧だそうです。


また、睡眠の質は、認知機能にも影響を与えます。睡眠時間が短い人は、アルツハイマー病になる可能性が5倍高くなります。認知症の発症には、睡眠時間が関係しているのです。

睡眠の質が悪いと、計画を立てたり、決断したり、間違いを正したり、問題を解決したりする能力が制限されることがわかっています。確かに睡眠不足の日は頭が冴えず、思考力が遅くなります。

睡眠の質の低下は、計画、意思決定、誤りの修正、問題解決の障害と関連しており、認知機能の低下を防ぐためには良質な睡眠が重要です。すでにアミロイドβ濃度が高い人は、ベッドで過ごす時間が長いわりに、睡眠時間も短かった。睡眠のパフォーマンスが最も低い人は、睡眠の質が良い人に比べて、初期のアルツハイマー病を発症する可能性が5倍も高かったのです。睡眠に関しては、時間と質のバランスが重要です。睡眠時間と質のバランスが重要で、質が良ければ短時間で眠ればいいというものではなく、また目が覚めているのに布団の中にいるのもよくないとされています。こうした睡眠習慣の悪さが、認知機能の低下につながっている可能性が高いのです。若い時は意識しませんが、年齢を重ねると残りの人生の時間を考え始めます。するとダラダラと過ごすよりも、有意義なことをして過ごしたいと考えることも増えますよね。

睡眠の質に関しては、睡眠時無呼吸症候群と認知症の関係についても研究が進められています。睡眠時無呼吸症候群になると、大きないびきをかき、眠るたびに呼吸が止まるため、睡眠時間を十分に確保しても、質の高い睡眠をとることができません。睡眠時無呼吸症候群の人や睡眠時間が短い人は、健康な人に比べて、認知症に関連する脳の変化が約4倍起こりやすい(米国神経学会)ということがわかりました。

また、よく眠っている人が記憶している言葉を思い出すとき、大脳皮質の前頭葉が海馬よりも活発に働いていたそうです(アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校研究グループ)。これは非常に興味深い研究結果です。睡眠には、ノンレム睡眠とレム睡眠の2つのパターンがあります。レム睡眠中は、脳のメンテナンスを行い、記憶を司る海馬がつまらない記憶を一時的に整理しています。睡眠の役割の一つは、不要な記憶を消去し、短期記憶を長期記憶として大脳皮質に再貯蔵し、情報を整理することです。それは必要に応じて回復されます。今回の研究結果は、長期記憶として覚えているものを保存するためには、十分な睡眠が不可欠であることを示しています。



昼寝をして脳と体を休めると、頭が冴えて、仕事や学習の効率が格段に上がります。また、体が活発に動くようになるので、午後の活動量が増え、夜もよく眠れるようになります。高齢者が15時前に昼寝をすると、不眠症になりにくいと言われています。

昼寝と認知症の関係については、認知症の専門家の研究で、昼寝をするとアルツハイマー病の発症リスクが5分の1になるという結果が出ています。ただし、30分以内の昼寝は良くて、1時間以上の昼寝は発症リスクが高まるということもわかっています。海外の研究では、30分以上の昼寝は病気や死亡のリスクを高めることがわかっています。

また、睡眠薬を飲み続けると、認知症になりやすくなります。ベンゾジアゼピン系の薬を飲み続けると、がんや認知症などの生活習慣病になりやすいことが科学的に証明されています。この見解を裏付けるように、「ベンゾジアゼピン系の薬の使用回数が多いほど、また使用歴が長いほど、アルツハイマー病の発症リスクが高くなる」という結果が出ています。

薬の使用期間が3ヶ月未満のグループでは、認知症との関連性は認められませんでした。眠れないからといって睡眠薬の量を増やさず、医師に相談し、医師との良好な関係を保つことが大切です。睡眠薬は30分後に効いてくるので、飲んでから20分以内に眠りにつくことができれば、自然に眠れたと考えることができます。これは、睡眠薬が必要かどうかの目安になります。

睡眠不足は、がんや心臓病の原因になります。交代勤務や夜遅くまでの仕事は、がんのリスクを高めます。睡眠不足や質の悪い睡眠は、認知症以外にもがんや心臓病をはじめとするさまざまな病気を引き起こすことは、世界中の研究で明らかになっています。眠らない国、日本では、多くの人が夜遅くまで働いています。実は、交代勤務や深夜勤務の人は、日勤の人に比べて睡眠のタイミングや質に問題があると言われています。

深夜勤務の女性は乳がんや大腸がんを発症しやすく、男性は前立腺がんを発症しやすいとされています。原因の一つとして考えられるのは、睡眠とホルモン分泌の関係です。睡眠を促すホルモンであるメラトニンは、性ホルモンの分泌を抑制するため、メラトニンの分泌が減ると性ホルモンの分泌が増え、乳がん、子宮頸がん、前立腺がんの発症につながります。一方、深い睡眠時に増える成長ホルモンには、傷ついた細胞を修復して免疫力を高める働きがあり、メラトニンには抗がん作用があるため、よく眠るとがん細胞を攻撃してくれます。がん予防には十分な睡眠が必要です。


またアメリカのコロンビア大学メディカルセンターの研究によると、1日の睡眠時間が5時間未満の中高年の人は、7〜8時間寝ている人に比べて高血圧になる確率が2倍になるそうです。血圧が高くなると、血管にかかる圧力が大きくなり、血管が傷つきます。傷ついた血管は、寝ている間の低血圧時に修復されます。しかし、夜型の人や睡眠時間が短い人は、血管の修復が進みません。睡眠不足による高血圧は、脳血管性認知症の大きな危険因子です。また、国内外の多くの研究で、狭心症や心筋梗塞などの心血管疾患、脳卒中(脳の血管の病気)、糖尿病、うつ病、肥満などと睡眠が深く関わっていることがわかっています。

さらに詳しく学ばれたい方は、下記の本をご覧になってみてください😄

0 comments:

Post a Comment